月があんまり輝かしいから私はひとり旅に出た。
外は乾いて寒々しくて風が冷たく頬叩く。
猫が影から現れて私の足に這いよって、
上へ上へと巻きついて尻尾を上げてにゃあと啼く。
月があんまり輝かしいから私はひとり旅に出た。
核の核から心臓が氷っていくので寒かった。
私のからだが氷っていくたびどんどん息は白くなる。
夜が降りて、降りて降りて、いつまでたっても夜なので、
太陽どこにいったのだろうとだけれど月はまだ白い。
月があんまり輝かしいので私は歩いて外に出る。
野原の真ん中風が冷たく草には霜が降りるでしょう。
いつまでたっても太陽出ずに、
夜はまだまだ終わらずに、
猫は右脛這い登り、
あの日の人は戻ることなく、
私は月を見上げながら、
足跡残して野原を渡り、
影消える先はいずことも分からないままに。