紀久子さんは、来信さんの腕を握り締めて首を振りました。
「電話をしないで」
「どうしてですか」
「電話が嫌いだからよ。」
「どうしてですか。」
「どうしてもよ」
紀久子さんはうつむきました。
それから顔を上げると憤怒の形相をしていました。
「紀久子さん。顔が怖ろしいです」
「怖ろしければ怖ろしいというがいいわ」
「怖ろしいですよ」
来信さんは悲しそうな顔で口をゆがめました。
紀久子さんはそのまま来信さんの首にかぶりついて来信さんの一部に同化しました。
それ以来紀久子さんは存在していません。
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鈴の鳴る場所呟きの歌
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