散歩しようと川沿いのくだるアパートの階段を降り切り土手沿いに足を踏み入れたとたんに、
草が一面ザーッと同じ方向に吹いて自転車がベルをうるさいくらいに鳴らした。
川面が波紋だらけにうずまいてきらきらする。
曇り空は見上げると太陽の在るところだけ白かった。
ザーッザーッ、草が切られてときどき撒かれながら曇り空と波紋が続く。
犬が吠えていた。
土手の下に一人肩くらいの髪の子が立って耳に両手を押し付けたままで空を向いていた。
背中を見ながら、
ああ あのこがないているんだ
と知った
背中だけしか見えなかったのだけれど、
曇り空と川のにおいがしていた。