Postscript / あとがき
『春の花、揺り籠を聴く』は2005年に某匿名掲示板に投下した作品を改訂したものです。
第一稿のままでは公開に堪えない部分が多すぎて(特に三章)、サイトに転載するなら加筆しなければと思いながらも延び延びになっておりました。
まさかこんなに時間がかかってしまうとは…すみません。
当時は青森新幹線「はやて」が八戸までしか通じていなかったので、旅行中の電車の接続も2005年当時のダイヤに準じております。
まさか青森まで新幹線が通じてしまうだなんて思わなかったんですよ!
特急「白鳥」は当時、八戸から出ていたんだ…!出ていたんですよ……!
(2023年追記:青森どころか函館まで新幹線が伸びるとはね……とスマホ閲覧用に改装しながらしみじみとしていました)
ともあれ思ったよりもかなりの時間をいただいてしまいましたが、これでようやく完結です。
リライトが中断している間に、リクエストのメッセージをくださった皆さま、お待たせして申し訳ありませんでした。
おかげさまで最後まで書ききることができました。
既に一度お読みいただいていた方にも、ご新規の読者さまにも、恥ずかしくない完成度にできたかなと思います。
少しでもドキドキハラハラしていただけたのなら、これに勝る幸せはありません。
ささやかな番外編は数本予定しておりますが、基本的に彼らの話はここで終わります。
世の中は幸せなことばかりではなく、祈りも願いも聞き届けられることの方がきっと少ない。
彼らの人生も順風満帆ではないかもしれません。
それでも大切なものの端っこを握ろうとする気持ちを忘れず、明日は良い日でありますように。
やがて巡る春の日が多くの人にとって暖かなものであることを祈ります。
最後までお読みいただき、本当に本当にありがとうございました!
2012/04/27 いすず拝
ご感想などありましたら、一言だけでもいただけるととても嬉しいです。
Wavebox👏
【引用元・出典等】
作品全体のモチーフ+章題の元ネタになります。
木ねずみ、というのはリスのことだそうですね。
ちなみに最後に梅子たちが九州へ移住するのは白秋の出身地オマージュです。
北原白秋「他ト我」(『白金ノ独楽』より)
"二人デ居タレド…"の詩です。 1章(3)、4章(5)にて引用。
作中では読みやすさの問題から敢えてひらがなにしてしまいました…白秋先生すみません。
北原白秋「君かへす朝の舗石さくさくと 雪よ林檎の香のごとく降れ」(『桐の花』より)
終章(6)にて引用させていただきました。
『春琴抄』(谷崎純一郎/小説)
春海+琴子の双子周辺の名前や一部顛末の元ネタ。
(カナリヤではありませんが)よく歌う鳥を籠に飼い鳴かせている、などの映像イメージも影響されています。
お嬢様と幼馴染みの使用人、SMという言葉ではくくれない執着しもつれ合う関係がこう、ぐっときます。ぐっと。おすすめ。
『幸福の黄色いハンカチ』(映画)
高倉健や桃井かおりや武田鉄也が若い頃の映画。和製ロードムービーの佳作。
古い映画ですが何かの切っ掛けで見たことがありまして、ロードムービー楽しいなぁと思ったのに影響されてます。
3章「木ねずみ」の行き先が北海道なのは『黄色いハンカチ』リスペクト(上陸してすぐとんぼ返りでしたが)。加えておっさん一人+若いカップルな組み合わせ、あと登場人物の名前などもそうですね。
ちなみに本編では入れる隙がなくて書けませんでしたが、染井は健雄さんの書く絵が大好きです。