00 / 私と弟と幼馴染
「志野」
ゲームのコントローラを放り出して、隣の幼馴染は私を睨んだ。
背の高い青年で、三つ隣の向かいの家の辰さんだ。
「何?」
中途で動かなくなった辰さんのプレイキャラクターを遠慮なく滅多打ちにさせていただいて、私は15連勝ボイスと「YOU WIN」の文字を見届け、やっと目を画面から離した。
「で、何?」
「竹さん、文句言っても無駄だと思うよ。姉さんこれに関しては容赦ないから」
後ろから首を突っ込んで志郎が言う。
その通りだ。
私は半年前、冬休みの二週間をこれの攻略に捧げた。
ゲーム好きでもないのに何故あんなに嵌ってしまったのか今でもよく分からないのだけれども。
「俺なんて30連敗したよ」
「……もう志野とやるの嫌だ。絶対嫌だ。志郎、相手をしてくれよ」
「いいよ。姉さんどいて」
「どいてって……ひどいなあ。いいけど、ほら」
ずりずりと場所をのけてコントローラを渡すと、並んだ弟と幼馴染を眺めて私は冷たい麦茶を一口飲んだ。
梅雨が終わり、今年も暑い季節がやってくる。
しんさんとしの
(0.私と弟と幼馴染)
(0.私と弟と幼馴染)