目次

しんさんとしの

本編

あの夏のこと、思い出した夏のこと。

番外編

何気ないただの日々。

『夏の日々』

『冬の日々』

『ままごと』-パラレル

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帰る途中で雪が降り出し、JRの駅を降りるとあたり一面がまっさらだった。
さすがに気になる量だったけれどどうせバスだし、傘は買わずに蒸した車内で十五分眠り十分弱歩いて商店街を抜けた。
降りだしてから一時間ほどなのに、すっかり積もってブーツ脇から雪がストッキングを冷たく冷やして濡らしている。
門の上の雪を払って敷地に入り、鍵を探りながら、ふと縁側を見た。
雪だるまが大小数体不恰好に並んで、空を見上げていた。
「なにあれ」
呟いて、なんだかおかしくて笑う。
ああいうことをやるのは弟か幼馴染か、もしくは二人ともか――とにかく彼か彼らの仕業に決まっている。
居間に灯りがついているのを確認して鍵の確認を放棄し、玄関の引き戸をガラガラと開けた。
廊下は涼しいけれど暖房の名残がほっとさせる。
辰さんが台所から湯気の立つマグカップを二つ手に持って暖簾を肩に滑らせてこちらに来た。
「ああ、志野。おかえり」
「ただいま。縁側のあれ、誰がやったの?」
「ブラウニー」
絶対辰さんだ。
「あったかいもの飲むんだったら、ちょうどお湯が沸いているよ」
「ん」
「タオル持ってこようか?」
「大丈夫」
ブーツの雪を払って廊下に上がり、コートをかけて私は笑った。
いつも通りだ。
雪が降っても吹雪が来ても、夏が去っても冬になっても。

しんさんとしの
(002 :冬巡り)