肉まんをほお張りながら、ざくざくと霜柱を踏んで空き地を抜けた。
近道にはいくつもの足跡が大小ばらばらに残っていて、皆考えることは同じなのだと心中で笑う。
そのまま脇道から大通りに出ると、がたの来ている歩道橋の真下、自転車専用の横断歩道を歩いて寂れた無人駅裏を通った。
そこから十数分も歩けばバスが止まる大通りも商店街も抜けて、一面の田んぼに抜ける前の小さな住宅街に出る。
息が白い。
小雪がちらついていた。
家路をたどるのと同じ道筋を歩き、自宅の三件手前の右側の門を引く。
金属の柵にはうっすら雪が被っていて手が冷えた。
挨拶もせずに引き戸を開けて玄関に顔を突っ込みしばらく待つ。
ほどなく上の奥からぱたぱたと靴下の音がして階段の軋みと一緒に足首が下りてきた。
階段の中ほどで暖かそうなスパッツが動きを止める。
長いトレーナーを着た幼馴染がくせっけを揺らして彼を眺めた。
なんだ辰さんか。と目だけで言葉が伝わってくるようだ。
「おかえりなさい」
それ以上は何も言葉にせず、志野はまた階段を上がっていってしまった。
「うん」
聞こえないだろうと知っていて小さく笑う。
当たり前のようにそう言う彼女がどれだけのものなのか。
引き戸を後ろ手に閉めると、居間からテレビ特有の音声でゴルフの解説が聞こえてきた。
小父さんがいるのだろう。
「お邪魔します」
丁寧に言い直して、靴を脱ぎ幼馴染の自宅に上がる。
しんさんとしの
(006 :小雪の空)
(006 :小雪の空)