4/Midnight Play House
夜は寝苦しい。
湿気がひどくて、タオルケットからもぞもぞと起き上がって頭を抑える。
廊下から灯かりが漏れていた。
つけっ放しなのだろうか。
ベッドから裸足を降ろしてTシャツ一枚のままで廊下を覗きに行く。
部屋のドアを開けてすぐの、階段の途中で、幼馴染が本を読んでいた。
興味がなさそうにページをめくることもなく、ぼんやりと紙面だけを眺めていた。
開け放した隣部屋のドアからは、弟の低い鼾がやけに遠く聴こえてきている。
手をドアにかけたままで私は辰さん、と呟いた。
彼は一拍おいてから虚ろに振り返った。
そして不自然なくらい余裕げに笑った。
「なんだ。早起きだね」
私は何も答えずに、ただ辰さんを見た。
しばらく視線を合わせていると先に幼馴染のほうが立ち上がり、階段を下りていった。
一階は電気もつかずに闇に飲まれている。
一番下まで足音が残り、階下で背の高い同い年の青年が、私を黙って肩越しに仰ぐ。
「志野。」
「なあに」
「大嫌いだと言っておくれ」
「思ってもいないことを言うの、好きじゃないの」
格好が格好なので、ドアから足を踏み出さず顔を出したままそれだけ答えた。
幼馴染は眩しそうに明るい二階の廊下か、もしくは私のことをしばらく見つめた。
笑いもせずに。
「好きだよ」
そうして言った。
私はそう、と答えて彼が居間のソファに消えたらしい気配を感じるまでずっとドアの中から階下を見ていた。