目次

しんさんとしの

本編

あの夏のこと、思い出した夏のこと。

番外編

何気ないただの日々。

『夏の日々』

『冬の日々』

『ままごと』-パラレル

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6/おままごと

ノックをしたのに目が覚めないくらいには寝入っていたらしく、カーテンを引きやられて頭を揺らされてやっと目覚めた。
ひどく眩しい。
タオルケットをはがして半分だけ身体を起こすとベッドの傍にいた人が微妙に一歩下がってなんともいえない溜息をついた。
まだ頭が重いので朦朧と幼馴染に手をあげる。
「おはよー」
「志野、何か着ないと襲うよ」
「……」
そういえば下着で寝ていた。
でも遠慮なく入ってきて起こす幼馴染も悪いような気がする。
手で払う前に自ら出て行った辰さんの背を見送り、傍に重ねてあった洗濯済みの服を適当に着込む。
眠い。
でもまあ、午後から葉子さんと共同レポートの約束もあった筈だし、起こしてもらって助かった。
階段をぎしぎしと降りていくと居間では弟がグロッキーになっていた。
飲みすぎるからいけない。
辰さんは平気そうだったけれど、なんだかそれも珍しいなあと今更思う。
しかし昨日は寝苦しくて暑かった。
おなかがすいたので台所に向かう。
ヨーグルトと残りのぶどうと、麦茶を出してついでに洗い上げのお皿をしまう。
裏庭でがさがさと音がして、お母さんの笑い声が聞こえた。
お母さんも年頃の娘のところにいくら家族同然とは言っても辰さんを送り込むのはなんというかこう、どうなんだろうか。
まあいいけど。
どうせそういうことにはならないし、そんなの私たち自身が、出会ったときからずっと長いこと、毎日のように知っている。

『ままごと』 (6:おままごと)