制服を脱いでTシャツに着替え、一階に降りる。
現在高二で同い年の人が、ソファに寝転んで本を読んでいた。
足音で集中を解いた彼と、はたと目が合う。
「暑いね」
余裕に満ちた笑みを向けられて、どんな風に返せばいいのか一瞬迷う。
ハーフパンツから出た膝に、扇風機の風が吹きつけてくるのが涼しかった。
「何読んでるの?」
「この人を見よ」
「は?」
幼馴染は、本に注いでいた視線をまた上げて、意地悪そうに私を見た。
「『この人を見よ』が題名」
「…あぁ」
題名は聞いたことがあったけれど、何の本だかまでは分からなかった。
まあどうせまた、変な本でも読んでいるんだろう。
どうも辰さんの読書傾向は分からない。
まあ、薦められた本は大抵面白いのでいいけれど。
最近の辰さんは自分の興味が向かない本に積極的に手を出す傾向がある。
突然そうなったのだから全く意図が分からない。
まあ分かったところでどうということもないから構わない。
「辰さん、麦茶飲む?」
「んー」
生返事に肩を竦めて、私は廊下に再び裸足で出た。
廊下は冷たくて、足の裏が気持ちいい。
しんさんとしの
(016 :高校生読書対象)
(016 :高校生読書対象)