5/ままごと
暑かったので下着で寝ていると誰かが帰ってきた音がした。
しかも酔っ払っている。
それで半端に覚醒してのろのろとタオルケットを剥いだ。
汗ばんでいて肌がべたつく。
目を擦ると、ドアの隙間から眩しい明かりが差し込んできた。
「……眠、あー」
「まだ寝るには早い!軟弱だ!」
弟と幼馴染がアホみたいな会話をしながら階段を上がってきている。
明らかに酔っている。
未成年のくせに。
別にいいけど。
うるさいなあ、と思いながらまた枕に倒れこむと、風を這うような、響きと一緒に声がやんだ。
ぼそぼそと低い声が囁きかわされる。
「大丈夫だって、親父も帰ってきてない」
「でも志野はいるだろう。静かにしておこう」
「別に起きないだろ」
起きてるけど。
眠りにいきかけた意識のままで言い返してみたりして、でもまあ気にせず目を閉じた。
汗で寝苦しいのは変わらなくてタオルケットを指に巻き込む。
薄いドアの隙間が静かに閉められて差し込んだ光が細くなりやがて消えた。
私は枕に埋めた頬を少しだけ緩めた。
――あの同い年の幼馴染は、変人の癖に妙に気遣いだからおかしい。